ひもそ日記

高1長女(ADHD)と中2次男(てんかん)の日常。たまに高2長男の男子校生活や家族のことなど。

キムコ先輩のはなし その6

キムコ先輩の息子くん、高校生の頃は違う苗字だったはずなのに、
高校卒業と同時位に、またわたしの嫁ぎ先と同じ苗字になりました。
つまり、キムコ先輩は離婚されました。


そうかぁ。
バツが2こ付いちゃいましたか。。
でもまぁ、ギスギスしちゃってる感じで一緒に居ても辛抱たまらんし、
息子くんが、その空気感の中に居るのも可哀そうだから、良かったんじゃないかなぁ。
でも2年かぁ。
やはりお別れが素早いなぁ。


それから暫く経った頃、実家で義兄からキムコ先輩の近況を聞くことになりました。
宅配業者の仕事をしている兄が荷物を届けた時のお話です。
お届け先が、たまたまキムコ先輩が住んでいるアパートだったそうです。
まさかの再会。数年振りに会ったキムコ先輩。
車いすに乗っていたそうです。
ポテトチップスばかり食べていたら、糖尿病になってしまったとキムコ先輩。
身体障害者手帳も持っているそうです。


そして驚くことに、キムコ先輩は赤ちゃんを抱っこしていました。
生まれて間もない、女のコの赤ちゃんだったそう。


「籍は入れてないんだ。
 正直、父親だれか分かんないから。」
キムコ先輩のコトバに、さすがの兄も固まったと話していました。


一緒に暮らしていた息子くんは、仕事から帰った途端に
キムコさんに「妹の面倒をみろ!」と押し付けられるから、
もう無理!と出ていってしまい、一人暮らしを始めたそう。


今はキムコ先輩のお兄さんの息子さんが、女のコの面倒を見に、
足しげく通ってきてくれているそう。


「でもさぁ、キムコさんさ。
 トイレに行ってくるから、兄ちゃんこの子持ってて!ッて言ってさ。
 子供預けて、スタスタ歩いてトイレ行ってたんだよ。
 車いすいるか?本当にキムコさんに手帳が必要か?って思ったよ。」
……。
なんて言ったら良いのか分からない。。
家族中が同じ気持ちだったらしく、みんな黙っていました。


そして兄が話を続けました。
「キムコさん家の表札をみて驚いたんだよ。
 俺らと同じ苗字の表札だったんだよ。
 甥っこは、弟と血が繋がっているから、苗字を俺らの姓に直しても良いんだけどさ。
 なんでキムコさんまで、一緒なんだって感じだろ?
 しかも、甥っ子はもう家を出てるのにさ。。」
……。
「思わず、甥っ子もう家出て居ないんだから、
 表札直したら?って言ったんだよ。
 そしたら、なんて言ったと思う?」
……。
なんて言ったの、、?


「また、兄ちゃんの弟くんと再婚するかもしれないし、
 このままにしておくよ。
 だって。。」


そのコトバで。
背筋が凍った人。
図々しい!と呆れた人。
ふざけるな!と怒りを露わにした人。
バラバラな感情が渦巻いていました。


わたしは、怒りとか呆れとかよりも、なんだか胸がキュッと痛くなりました。
きっと息子くんが、弟くんと同じ苗字に戻したことに、寂しさや羨ましさや、
仲間に入りたいって気持ちが、キムコさんの中にあったんじゃないかな。
何かが少しづつ違っていたら、キムコさんと、嫁シスターズだったかもしれない。
そう思うと、なんだか妙に切ない気持ちになりました。


その後、キムコさんがどんな風に暮らしているのか分かりません。
また風の便りで聞くことがあるかもしれません。


そしたらきっとキムコ先輩のことだから、またわたしをアッと驚かせてくれると
思います。
驚かせてくれる内容が、キムコさんや周りの人にとって幸せなコトだといいな。。
そんなキムコ先輩は、わたしが今まであった人の中で、間違いなく


       最強の人です。


キムコ先輩の話、
       これにておしまい。